北陸研究センターでのGMイネ栽培実験中止申入書

2005年8月23日

農業協同組合
代表理事組合長 様

日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐

上越市の北陸研究センターにおける
遺伝子組み換えイネ栽培実験の中止に関する申入書

貴農協におかれましては、いつも消費者に美味しく安全な作物を生産していただき、心より感謝しております。

現在上越市の北陸研究センターでは、カラシナの遺伝子を「どんとこい」に導入した、遺伝子組み換えイネを開発し、今年度、野外実験(隔離圃場)を行っています。

この遺伝子組み換えイネの栽培実験に対して、現地の生産者、消費者が栽培実験の中止を求める訴訟を行っています。また全国の消費者、生産者はこの栽培実験に注目するとともに、強い懸念を抱いております。

実験とはいえ、遺伝子組み換え作物は野外で作付けされれば、花粉の飛散が起き、周辺の農作物に影響が出ます。一般の農家の農作物に意図しない形で遺伝子組み換え作物が広がるなどの事態が予想されます。

米国、カナダ、アルゼンチンなどの遺伝子組み換え作物栽培先進国では、遺伝子汚染が拡大し、取り返しのつかない事態が起きています。除草剤耐性の遺伝子が広がり、除草剤にも枯れない雑草が広がったり、殺虫性作物に対する耐性害虫が増えて、農薬の使用量が増大するなどの環境悪化も報告されています。また、遺伝子汚染された農家が、特許権侵害で訴えられ、高額の特許料を請求されるなどの事態も頻発しています。

米国やカナダでは、遺伝子組み換え農業と、他の農業(慣行農業や有機農業)との共存があり得ないことがはっきりしてきました。とくに有機認証を取り消されるなど、有機農業が壊滅的な打撃を受ける可能性があることが示されています。ドイツやデンマークなどでは、遺伝子組み換え作物の栽培に厳しい条件を課して、事実上、栽培ができないようにしています。

遺伝子組み換え作物の栽培は、実験栽培といえども日本の農業自体の崩壊を招きかねません。北海道では農業・農家を守るために、「遺伝子組み換え作物栽培規制条例」が制定されました。

新潟県は日本でも有数の、優良な米の産地です。今回の遺伝子組み換えイネは低農薬や病害への抵抗性による生産者メリットを強調していますが、生産者の間では交雑への不安も高まり、風評被害などにより、新潟産のお米が売れなくなるという事態も心配されています。私ども遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンでは、新潟の農業を守り、農家を守るために、「新潟県のお米を遺伝子汚染から守る」全国100万署名を開始しました。

貴農協におきましては、遺伝子組み換えイネの栽培実験を中止させるよう、すでに北陸研究センターに強く働きかけていただいていることと思いますが、今後も全国の消費者、生産者とともに栽培実験を中止するよう働きかけていただきますようお願い申し上げます。