ゲノム編集コオロギに関する質問状への回答(グリラス社)

特定非営利活動法人日本消費者連盟御中

2022年7月11日

株式会社グリラス
代表取締役CEO 渡邉崇人

2022年7月1日付で受領した「ゲノム編集コオロギに関する公開質問状」においてご質問いただいた15の項目について、下記の通りご回答申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

1. ゲノム編集技術により品種改良を施したコオロギ(以下「ゲノム編集コオロギ」という。)について、現時点で商品化の目途は立っておりません。株式会社良品計画向けのコオロギせんべいに用いられる原料コオロギについても、現時点において、ゲノム編集コオロギを用いる具体的な計画や予定はございません。

2. ご質問1に対する回答と同様に、弊社のオリジナル商品に関しても、現時点において、ゲノム編集コオロギを用いる具体的な計画や予定はございません。

3. ご質問1に対する回答と同様に、現時点において、弊社美馬ファームでゲノム編集コオロギの飼育や加工を行う具体的な計画や予定はございません.

4. 現在、弊社では、国立研究開発法人新エネルギー・農業技術総合開発機構(通称NEDO)が実施する「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(週称STS)に採択されたことを受け、ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に関する研究に取り組んでおります。同分野における今後の研究課題については、事業上の情報であることから、回答を差し控えさせていただきます。

5, 現在、弊社では、ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に閉する研究は、フタホシコオロギを対象に取り組んでおります。現時点において、研究の対象を、フタホシコオロギ以外のコオロギや他の昆虫に広げる具体的な計画や予定はございません。

6. 弊社事業における食用と飼料用の供給バランスは、各セグメント向けの弊祉の供給可能量や、それぞれの市場動向等を踏まえ、適時に調整していくことになると考えております。

7, 現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、今後、これを商品化していくこととなった場合は、所管行政庁等の指示に則り、安全性の確保等に真摯に取り組むとともに、商品を手に取られる消費者の方々に対しても、安心・安全に資する適切な情報の発信に努めて参ります。

8. ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に関する研究に取り組んでいる弊社研究所においては、ゲノム編集を施したコオロギの飼育に際し、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成十五年法律第九十七号)及び「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成十六年文部科学省・環境省令第ー号)の規定に従い、同省令別捜第四に定めるP1Aクラスの拡散防止措置を講じております。
現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、仮に、今後これを商品化し、大量に飼育することとなる場合は、所管行政庁をはじめとする専門家の指導を仰ぎつつ、ゲノム編集コオロギが飼育施設外に逃げ出すことがないよう、万全の措置を講じて参ります。

9. 現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、仮に、今後これを商品化していくこととなった場合は、その時点における関係法令を遵守した上で、消費者の皆様の適正な商品選択に資するよう、ゲノム編集に関する適切な情報提供の方法について検討して参ります。

10. ゲノム編集候補配列は、オフターゲット候補配列に対して3塩基以上の相違配列を保持するような十分に特異性が高い配列を選択しています。その上で、オフターゲット候補に対して解析を行い、オフターゲット候補配列に意図しない変異が組み込まれていないか確認しています。今後も、オフターゲット解析の有効な手法については、検討を深めて参りたいと考えております。

11. 弊社のフタホシコオロギは、野生種を累代に渡り飼育し系統としてしているもので、様々な遺伝子背景を持つことから、均一のゲノム情報を保持しておりません。また、日々の飼育の中でも、微小な塩基の変異は自然に発生していると考えられます。このため、全ゲノム配列解析を実施したとしても、それにより得られた結果がゲノム編集の影響を反映しているか判別する術がないことから、全ゲノム配列解析の実施は予定しておりません。

12. ご質問11に対する回答の通り、全ゲノム解析の実施は予定しておりません。

13. 弊社としては、ゲノム編集を実施することによりオフターゲット領域に染色体破砕が生じるという事例は承知しておりませんが、今後、そのような可能性も含めて、情報収集に努めて参ります。

14. 弊社としては、ゲノム編集を実施することにより意図しないエピジェネティックな異常が生じるという事例は承知しておりませんが、今後、そのような可能性も含めて、情報収集に努めて参ります。

15. ゲノム編集を実施した当代個体(第0世代)は、ゲノム編集の技術上、必然的にモザイク個体となります。他方、弊社では、次世代に編集形質が受け継がれてモザイクではなくなった個体のみを系統として維持することを予定しており、モザイク個体が系統として維持されることはありません。

株式会社グリラス
徳島県鳴門市撫養町黒崎字松島45-56