ゲノム編集トウモロコシに関する公開質問状へのコルテバ・アグリサイエンス社の回答

ゲノム編集トウモロコシを日本政府に届け出た米国のコルテバ・アグリサイエンス社に対して遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと日本消費者連盟は公開質問状を送り、同社から回答が来ました。しかし回答内容は、私たちの安全性に関する懸念に答えたものではありませんでした。

 

質問

回答

1、ゲノム編集ワキシーコーンのオフターゲットや染色体破砕などの遺伝子変化について、全ゲノム解析によって調査しましたか。その遺伝子変化をどう評価しましたか。その詳細を公開していただけますか。

この度はお問い合わせをいただき、誠に有難うございます。弊社は、生産者と消費者の生活を豊かにし、確実に次の世代につなぐことを目的に事業を行っております。この目的を達成するための有用な技術の一つがCRISPRゲノム編集であり、豊かで健康的な食糧を世界中で供給し続けることを可能にする品種改良の方法として、弊社はCRISPRゲノム編集に大きな期待を寄せております。
CRISPRゲノム編集は、植物が本来持っている自身のDNAのみを利用して優れた品種を作出することを可能にします。研究者たちは、CRISPRゲノム編集を用いることで植物自身のDNAを正確に取り除いたり、正確に移動させたり、正確に編集したりすることにより、例えば乾燥や病気に強い、あるいは栄養価が高いなどの性質を持った植物を作出することが可能となります。このような優良な性質を持つ植物は自然環境下で自発的に生じることや従来の品種改良によって得られることもありますが、CRISPRゲノム編集を品種改良方法として用いることにより、これらと同様に優良で安全な植物をより効率的に作出することができます。
さて、令和5年3月31日付でご送付いただきました質問につきまして、以下に回答申し上げます。まず、先般届出されましたPH1V69 CRISPR-Cas9ワキシートウモロコシは、研究及び商業化前試験のため米国で栽培されたことはありますが、現時点で商業的な流通・販売はされておりません。また、ワキシートウモロコシはもち性のトウモロコシでありますが、以前から自然環境下での自発的な変異や従来の品種改良方法によって作出されたワキシートウモロコシは流通しており、長期にわたり安全に利用されております。これらのワキシートウモロコシのもち性は、Wx1遺伝子の欠損により得られる特性です。こちらと同様に、PH1V69 CRISPR-Cas9ワキシートウモロコシもWx1遺伝子を欠損させることにより作出しております。
PH1V69 CRISPR-Cas9ワキシートウモロコシの食品としての安全性に関わる情報につきましては、「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」(令和元年9月19日)に従って厚生労働省に提供し、専門家にご確認いただいております。オフターゲット変異の確認等の詳細は届出情報として厚生労働省のウェブサイト1)にて公開されておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。また、PH1V69 CRISPR-Cas9ワキシートウモロコシの生物多様性影響に関する情報につきましては、「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の生物多様性影響に関する情報提供等の具体的な手続について」(令和元年10月9日)に従って農林水産省に提供し、専門家にご確認いただいております。こちらにつきましても、オフターゲット変異の確認等の詳細は届出情報として農林水産省のウェブサイト2)にて公開されておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
弊社は、Center for Food Integrity3)から、同団体の定める「農業における遺伝子編集の責任ある利用についての枠組み4)」に沿って事業活動がなされているとの確認を受けた最初の組織です。今後も消費者の皆様に信頼していただけるよう、責任をもってCRISPRゲノム編集の開発及び応用に取り組んで参ります。

1)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001075000.pdf
2)https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/attach/pdf/nbt_tetuzuki-13.pdf
3)Center for Food Integrityは今日のフードシステムが消費者の信頼を得られるよう支援する非営利団体です。Center for Food Integrityの会員及びプロジェクトパートナーは、正確な情報を提供し、食料と農業に関わる重要問題に協力して取り組むことを約束します。また、Center for Food Integrityが個別の企業やブランドについてロビー活動や擁護を行うことはありません。詳細につきましてはwww.foodintegrity.orgをご覧ください。
4)https://geneediting.foodintegrity.org/

2、食品の安全性評価試験はどのような方法で実施しましたか。その詳細を公開していただけますか。

3、生物多様性など環境影響評価をどのような方法で実施しましたか。その詳細を公開していただけますか。

4、ゲノム編集ワキシーコーンは、いつから、どこの国で栽培されていますか。栽培されたコーンは、どこで、どのくらいの量を、どのような用途(食用、工業用)に販売しましたか。

5、ゲノム編集ワキシーコーンは従来のワキシーコーンと分別生産流通されていますか。

6、日本での栽培または販売の予定はどのようになっていますか。消費者庁から表示の指導があったと(あるいはこれからあると)思いますが、どのように表示しますか。また使用商品等に表示を求めますか。