株式会社グリラス宛て「ゲノム編集コオロギに関する公開質問状」への回答

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと日本消費者連盟では、徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」が行っているコオロギのゲノム編集研究について公開質問状を送り、以下のように回答がありました。現時点において、ゲノム編集コオロギを用いる具体的な計画や予定はない、とのことですが、逃亡して環境に拡散する可能性の高い昆虫のゲノム編集について、引き続き注視していきます。

質問

回答

1、2020年に良品計画は貴社のコオロギを使用したコオロギせんべいを販売しました。この際、良品計画はゲノム編集コオロギではないと表明しました。今後、良品計画にゲノム編集コオロギを提供する予定はありますか。

1.ゲノム編集技術により品種改良を施したコオロギ(以下「ゲノム編集コオロギ」という。)について、現時点で商品化の目途は立っておりません。株式会社良品計画向けのコオロギせんべいに用いられる原料コオロギについても、現時点において、ゲノム編集コオロギを用いる具体的な計画や予定はございません。

2、貴社オリジナル商品として都内のコンビニでプロテインバーとクッキーの販売を開始しましたが、これにゲノム編集コオロギを用いる予定はありますか。

2.ご質問1に対する回答と同様に、弊社のオリジナル商品に関しても、現時点において、ゲノム編集コオロギを用いる具体的な計画や予定はございません。

3、コオロギ生産工場を徳島県美馬市に設置しましたが、今後、ゲノム編集コオロギを生産する予定はありますか。

3.ご質問1に対する回答と同様に、現時点において、弊社美馬ファームでゲノム編集コオロギの飼育や加工を行う具体的な計画や予定はございません。

4、ゲノム編集技術を用いてコオロギの脱皮ホルモンを制御し、過剰脱皮を促し巨大化させる遺伝子操作に取り組んでおり、さらに低アレルゲン・コオロギの開発にも乗り出していますが、今後さらに新たなゲノム編集コオロギの開発に取り組む予定はありますか。

4.現在、弊社では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称NEDO)が実施する「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(通称STS)に採択されたことを受け、ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に関する研究に取り組んでおります。同分野における今後の研究課題については、事業上の情報であるととから、回答を差し控えさせていただきます。

5、食用コオロギとしては、国産コオロギとフタホシコオロギで開発を進めていますが、ゲノム編集コオロギもこの2種類で開発しますか。それともコオロギの種類を増やしたり、他の昆虫を用いる予定はありますか。

5.現在、弊社では、ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に閲する研究は、フタホシコオロギを対象に取り組んでおります。現時点において、研究の対象を、フタホシコオロギ以外のコオロギや他の昆虫に広げる具体的な計画や予定はございません。

6、量産したコオロギは、主に飼料用として用いる予定ということですが、今後、食用と飼料用ではどちらに主力を置く予定ですか。

6.弊社事業における食用と飼料用の供給パランスは、各セグメント向けの弊社の供給可能量や、それぞれの市場動向等を踏まえ、適時に調整していくことになると考えております。

7、ゲノム編集技術を応用した食品の安全性について、どのように考えていますか。また、実際にどのように安全性を評価した上で市場化を図ろうと考えていますか。

7.現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、今後、これを商品化していくこととなった場合は、所管行政庁等の指示に則り、安全性の確保等に真摯に取り組むとともに、商品を手に取られる消費者の方々に対しても、安心・安全に資する適切な情報の発信に努めて参ります。

8、コオロギの場合、工場や研究所から逃げ出す可能性が大きく、繁殖力も大きいため、生物多様性への影響は大きいといえます。具体的な漏出防止対策を教えてください。逃げ出した際の対策についてもお答えください。また、生物多様性への影響はどのように評価されますか。漏出対策や環境影響評価について、第三者の監査を受けていますか。

8.ゲノム編集技術を用いたコオロギの品種改良に関する研究に取り組んでいる弊社研究所においては、ゲノム編集を施したコオロギの飼育に際し、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成十五年法律第九十七号)及ぴ「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」平成十六年文部科学省・環境省令第号)の規定に従い、同省令別表第四に定めるP1Aクラスの拡散防止措置を講じております。

現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、仮に、今後これを商品化し、大量に飼育することとなる場合は、所管行政庁をはじめとする専門家の指導を仰ぎつつ、ゲノム編集コオロギが飼育施設外に逃げ出すことがないよう、万全の措置を講じて参ります。

9、これまでは通常のコオロギを用いた食品の販売ですが、ゲノム編集コオロギを用いた際には、ゲノム編集についてどのように表示しますか。表示するとすれば、コオロギの出荷先に対してどのように徹底しますか。

9.現時点において、ゲノム編集コオロギの商品化の目途は立っておりませんが、仮に、今後これを商品化していくこととなった場合は、その時点における関係法令を遵守した上で、消費者の皆様の適正な商品選択に資するよう、ゲノム編集に関する適切な情報提供の方法について検討して参ります。

10、オフターゲットに関してはどのように調査していますか。

 

10.ゲノム編集候補配列は、オフターゲット候補配列に対して3塩基以上の相違配列を保持するような十分に特異性が高い配列を選択しています。その上で、オフターゲット候補に対して解析を行い、オフターゲット候補配列に意図しない変異が組み込まれていないか確認しています。今後も、オフターゲット解析の有効な手法については、検討を深めて参りたいと考えております。

11、オフターゲットについての最終的な判断は、全ゲノム解析で行うしかありません。貴社は全ゲノム解析を行いますか。もし行わないのであれば、その理由を示してください。

 

11.弊社のフタホシコオロギは、野生種を累代に渡り飼育し系統としてしているもので、様々な遺伝子背景を持つことから、均一のゲノム情報を保持しておりません。また、日々の飼育の中でも、微小な塩基の変異は自然に発生していると考えられます。このため、全ゲノム配列解析を実施したとしても、それにより得られた結果がゲノム編集の影響を反映しているか判別する術がないことから、全ゲノム配列解析の実施は予定しておりません。

12、もし全ゲノムを解析した場合、データ(遺伝子の変化とその評価)を公開する予定はありますか。もし公開しないのであれば、その理由を示してください。

12.ご質問11に対する回答の通り、全ゲノム解析の実施は予定しておりません。

13、オンターゲット上の染色体破砕について、どのように評価する予定ですか。もし評価しないのであれば、その理由を示してください。

13.弊社としては、ゲノム編集を実施することによりオフターゲット領域に染色体破砕が生じるという事例は承知しておりませんが、今後、そのような可能性も含めて、情報収集に努めて参ります。

14、エピジェネティックな異常に関して、どのように評価する予定ですか。もし評価しないのであれば、その理由を示してください。

14.弊社としては、ゲノム編集を実施することにより意図しないエピジェネティックな異常が生じるという事例は承知しておりませんが、今後、そのような可能性も含めて、情報収集に努めて参ります。

15、モザイクに関して、どのように評価する予定ですか。もし評価しないのであれば、その理由を示してください。

15.ゲノム編集を実施した当代個体(第0世代)は、ゲノム編集の技術上、必然的にモザイク個体となります。他方、弊社では、次世代に編集形質が受け継がれてモザイクではなくなった個体のみを系統として維持することを予定しており、モザイク個体が系統として維持されることはありません。

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